タクシー運転手ってきつい?福岡の現役タクドラが語るホンネ④【周囲の印象編】

タクドラの小ネタ

タクシー運転手ってきつい?シリーズ第4弾。今回はタクシー運転手の社会的なイメージについてです。

今でこそ僕が乗務する福岡市近郊エリアでは若い運転手が増えました。だけどまだまだタクドラって「爺さんが年金もらいながらセカンドライフでする仕事」というイメージが付きまとうのも事実です。

今回は僕が今までいろんな人から言われてきたことをまとめていきたいと思います。

何度言われたか、底辺職。

「転職してタクシー運転手になるよ」と友人に打ち明けるとき、ものすごく勇気がいりました。どんな顔をされるか容易に想像できたから。

「転職先はタクシー運転手です」と前職の人事担当には言えず、適当にごまかして会社を辞めました。どうせ引き留められるのが分かったから。

実際に面と向かって何かを言われたことはありませんでしたが、いろんな友人知人の顔を思い浮かべると「あいつならきっと否定してくるよな」という面々が目に浮かびます。

そして怪訝な顔をしたまま発する否定の言葉は「タクシーなんて底辺職」「負け組」「誰にでもできてそのうちAIに奪われる仕事」のどれか、もしくはすべて。世間一般においてタクシー運転手という仕事の評価ってやっぱりその程度なんでしょう。

あと銀行の審査が通りにくいなんてことも聞いたことがあります。

気持ちはわかりますよ。僕だって転職するまではそう思っていましたから。学歴なんて必要なくて、免許さえあれば誰でもできる地味な仕事だって。

たまに浴びせられる、お客さんからの心無い言葉も「まぁ、しょうがないよね」と苦笑いして諦めることなんて日常茶飯事です。

誰でもできる楽な仕事

あれはまだ僕が新人のころ。ちょっとチャラついたいわゆる陽キャが2人、後部座席で喋っています。今から焼肉食べに行くんですって。と、その瞬間僕が曲がるところを間違えてしまいました。

すぐさま気が付く陽キャ2人が「ねぇ、今のところなんで曲がらんやったん?」と不満げ。明らかに僕の方が年上でも、敬語なんて必要ないと言わんばかりの馴れ馴れしい口調です。

それから目的地までの十数分はもう地獄。

「タクドラとか所詮こんなもんよね」
「ミスってもこうやって謝ればどうにでもなるっちゃろ」
「いいな、絶対楽やん。免許あるしおれでもできそう」
「やめとけって、辞めたくなっても転職先ないぜ」

次々に出てくる心無い言葉に耳を覆いたくなりました。

もちろん道を間違えた僕に非があるのは明らか。だけどそれだけで「誰にでもできる楽な仕事」とはいかがなものか。

「免許もあるしおれでもできそう」

その言葉を聞きながら「そうかいそうかい、じゃあ土曜日の中洲のど真ん中で10組の酔っ払いを乗せてみな?」なんて嫌味が喉元まで出かかりました。

タクシー運転手に必要なのは、運転許だけじゃありませんからね。

確かに誰でも始められる仕事です。だけど誰でも続けられる仕事ではありません。

いい大学出たくせにタクドラ?

これは以前の投稿でも書いたことですが、学歴があるならタクシー運転手になんてなるべきではないと思っている人が一定数いるようです。

「せっかく大学まで出たのに」

「もっといい仕事があったはず」

「もったいない」

「まだ間に合うから考え直せ」

そんな言葉をかけられたことが幾度となくありました。実際に転職を報告した時に一番驚かれたのは、収入でも勤務形態でもなく、「大卒で?」というものでした。確かにそう言われる気持ちは分かります。

例えば親や先生。大学進学は将来の選択肢を広げるためなんですから、わざわざ高い学費を払って大学に行かせたのに、どうしてタクシー運転手になんてなるのかと思う人がいても不思議ではありません。

だけど最終的に進路を決めるのは僕です。

タクシー運転手になると決めたのも僕。

そして4年目を迎えても仕事を続けているのも僕。

将来個人タクシーを目指しているのも僕です。

もったいないと思われることはあっても、その選択を否定される筋合いなんてないのです。

少なくとも僕は、タクシー運転手という仕事を恥ずかしいと思ったことは一度もありません。

いい大学出てタクドラ?という講釈親父への僕なりのアンサー
昨日偏屈な頑固親父から言われた言葉。いい大学を出てタクシーなんて乗るもんじゃない、考え直せ。その言葉が、気に入らなかった。

若くしてタクドラなんてもったいない

これもよく言われます。

「運転手さんわか~い、いまいくつ~?」

「兄ちゃんえらい若いな」

「こんな若い運転手さんなかなかいませんよね」

1日に3回は言われます。やっぱり世間的なイメージはシルバー産業ですからね。爺ちゃんが多いイメージは簡単には変わりません。

そしてその会話の続き。大半の人は、

「この間の運ちゃんが爺さんで怖かったんよ」

「若い人が運転してくれる方が安心」

そう言っていただけるのは素直にありがたいものです。

ですが稀にこういう人がいます。

「その歳で、なんでタクシー運転手しよると?」

悪気なく、率直な疑問として聞いてくる人もいる一方で、「若い人が選ぶ仕事じゃない」という前提が透けて見える人も一定数います。

やってみてわかりましたが、若くして選んでも魅力のある仕事だと思います。重たい荷物を積み込むこともあるし、長時間の乗務をこなす体力だって必要です。

それに咄嗟の判断や視力と言った面では若さが武器になる場面もあります。

経験豊富で、何十年もこの街を見てきたベテラン運転手から学ぶこともたくさんあるので、若さか経験のどちらが優れているという話ではもちろんありません。ただ、少なくとも「若い人がする仕事じゃない」という考えには首をかしげてしまいます。

確かに個人プレーが多い仕事だから、一般的なサラリーマンが経験するマネジメントスキルや交渉スキルは身に付きにくい職業かもしれません。だけど地域の公共交通を担う中で得られる経験もまた、それらに負けないほど大切なものだと思います。

タクシー運転手になったからって、人生が止まるわけじゃありません。

むしろ、この仕事を通して初めて見た景色、得た考え方はたくさんあります。

まとめ

今回は「タクシー運転手ってきつい?福岡の現役タクドラが語るホンネ④【周囲の印象編】」をお届けしました。

タクシー運転手は同じ運転職でもパイロットや新幹線の運転士のように、世間から羨望と称賛の眼差しで見られる職業ではないようです。もちろん預かる人命の数も難しさも比べ物になりませんからね。タクシーは空も飛べないし、300km/hで走れもしません。できたらそりゃ嬉しいけど。

陸路でちんたら、細い道をクネクネ、世間から見たらそんな地味な仕事です。

だけど、終電を逃した人、バスに乗り間違えた人、深夜に帰る手段を失った人にとってタクシーは最後の交通手段です。

ラストワンマイルって言葉があります。最寄りの駅、空港、バス停などから自宅までの最後の区間。そこを支えらえるのは、ダイヤもルートも決まっていないタクシーならではだと思います。

そしてそのラストワンマイルで絶望する人だっているんです。以前書いたこの記事なんかまさにそうで。

「終電で寝過ごしちゃった!」寝静まった団地で感謝された話
深夜1時。寝静まった街を流していると懸命に手を振る男性を見つけました。人っ子一人いない住宅街でエールをもらった話。
【感謝】迷子のワンメの推し活ご婦人
「道が分からなくなって…」そう言って乗り込んできた推し活マダムに特大の感謝をいただきました。情けは人の為ならず、好循環を招く僕なりのスタイルです。
年末の深夜、凍てつく寒さの山の中、必死に手を振るおじさんがいた
バスオタクで近くにバスの営業所があれば立ち寄る塩っペ。この日は昭和バスの伊都営業所に寄道したんですが、そこには途方に暮れたおじちゃんが…。

そんな人たちの助けになれる最後の砦がタクシーだと思うんです。

「今日も家に帰り着いた」という日常を、「よかった…帰ってこれた」という安堵を支えられるのはタクシーの特権。誰かを家まで送り届ける。言葉にすればたったそれだけのことですが、その「それだけ」が誰かの日常を支えているんだと思います。

そんな声を車内で聞くたびに思います。やっぱりタクドラになってよかった!

今日は以上です(`・ω・´)ゞ

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