タクシー運転手が嫌なお客に当たった時の気持ちの切り替え方

タクドラの小ネタ

こんにちは、塩っペです!

先日、弊社の後輩くんが嫌なお客さんに当たってしまったらしく、しょげて帰ってきました。

タクシー運転手という仕事柄、というか、接客業をしていれば、いつかは訪れる日です。

理不尽なことを言われたらしく、「これってマジで僕が悪いんでしょうか。飲み込むしかないんですかね……」と、どうにも納得できない様子。

その場ではなんとか対処できたとしても、家に帰ってから「あれはなんだったんだ……」と何度も思い返してしまう。そんなふうに、嫌なお客さんとの出来事を後まで引きずってしまうことは、僕にもありました。

もちろん、明らかに自分に落ち度があるのであれば反省も必要です。でも、世の中にはどうしても「こちらではどうしようもないこと」もあります。

そこで今回は、そんな後輩くんに向けて。

そして、嫌なお客さんに当たってしまい、なかなか気持ちを切り替えられないタクシー運転手さんに向けて。

僕なりの、「嫌なお客さんに当たったときの気持ちの切り替え方」を紹介していこうと思います。あくまで「塩っペならこう考える」という話ですが、少しでも気持ちが軽くなれば幸いです。

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タクシー運転手が「イヤなお客」と感じるのはどんなとき?

そもそも僕らドライバーが「この人、イヤなお客だな」と感じるのは、どんなときでしょうか。

たとえば……

  • 極度に横柄な態度をとる
  • 交通違反や値引きなど、無理な要求をしてくる
  • 道順に過度に口出ししてくる。しかも、停まるたびに文句を言われる
  • 予約時間どおりに出てこなかったのに、「早くして」と急かしてくる

こんなところでしょうか。

もちろん、これ以外にも「それはちょっと……」と思うことはあります。

では、なぜ僕らはこういうお客さんを「イヤだな」と感じるのでしょうか。僕は、人として尊重されていない、軽視されていると感じるからだと思っています。

お客さんだって、自分を一人の人間として扱ってもらえなかったり、軽く扱われたりすれば、きっと嫌な気持ちになるでしょう。

その逆も然り。

我々運転手だって、ハンドルを握っている「機械」ではありません。一人の人間として仕事をしています。

だからこそ、こちらの事情や立場をまったく考えてもらえず、一方的に要求されたり怒られたりすると、どうしてもモヤっとするものです。

そして厄介なのが、そのモヤモヤがお客さんが降りたあとまで残ってしまうこと

「なんであんな言い方されたんだろう」

「自分が悪かったのかな」

「いや、でもあれは理不尽じゃないか?」

なんて、頭の中で何度も思い返してしまう。今回の記事で考えたいのは、まさにここです。

嫌なお客さんに当たること自体を完全になくすことはできません。だったら、嫌なお客さんに当たったあと、どうやって自分の気持ちを切り替えるか。

ここからは、僕なりの方法を紹介していきます。

大前提|嫌なお客に当たったときにしてはいけない考え方

全部自分が悪かったと決めつけて落ち込む

反省すべき点があるなら、そこは反省すべきです。

道を間違えてしまった、言い回しがまずかった、説明が足りなかった……。そういった部分は、「次は同じ失敗をしないように」と自分の仕事に活かすことが大切です。

ただ、その出来事のすべてに自分の落ち度があったと思い込むのは、ちょっと違います。

「ここまでは自分の改善点。でも、ここから先はお客さんの理不尽な要求。」

そんなふうに、自分が反省するべきところと、背負わなくていいところに線を引くことも大切です。全部を自分のせいにしてしまうと、必要以上に落ち込んでしまいます。

反省はする。でも、必要以上に自分を責めない。このバランスは、タクシー運転手として長く仕事を続けるうえでも大切なことだと思います。

全部お客が悪いと決めつけて開き直る

「全部自分が悪かった」と思い込むのは良くありません。しかし、その逆もまた良くありません。

「あのお客さんの言ったことがめちゃくちゃだった」

「あんなの人じゃない」

「耳を貸すだけ時間のムダだ」

そんなふうに、すべてをお客さんのせいにしてしまいたくなることもあるでしょう。でも、本当に自分の態度や行動、選択に1ミリの落ち度もなかったと言えるでしょうか。

「もう少し違う言い方をしていれば、避けられたかもしれない」

「こちらから先に説明していれば、トラブルにならなかったかもしれない」

そんな部分がなかったか、一歩立ち止まって考えてみる。どれだけイヤなお客さんだったとしても、自分の中に改善できるところがないかを探してみる

そこで見つけたことを次の仕事に活かし、同じトラブルを回避できれば、それはドライバーとして一つ成長した証です。

「全部自分が悪い」でもない。

「全部お客さんが悪い」でもない。

その間にある、自分が変えられる部分だけを拾っていく。トラブルを客観視して、改善できるところはやってみる。僕は、それくらいの距離感で考えるのがちょうどいいと思っています。

今日はそういう日だと投げやりになる

「あ~あ、今日は運が悪い日だよ。もう知らん。どーせこの後もこんな感じだろうし、今日はテキトーにやったろ~。」

そう言いたくなる気持ちも分かります。

タクシーには運が付きもの。だから悪い日はトコトン悪かったりしますよね。トラブルって、なぜか続くものです。

でも、そこで投げやりになってしまうと、その後のトラブルを自分で引き寄せてしまうこともあると思っています。

一度「もうどうでもいいや」となってしまうと、途端に何もかもが雑になります。

運転が雑になる。

接客が雑になる。

そして、それは態度にも出ます。

次のお客さんからすれば、さっきのお客さんとのトラブルなんて知ったこっちゃありません。なのに、こちらがイライラを引きずったまま接客してしまえば、

「なんかこの運転手さん、感じ悪いな……」

と思われてしまうかもしれない。

そこからまた別のトラブルが起きて、

「ほら、やっぱり今日はツイてない!」

となる。

こうなってしまうと、まさに悪循環です。

だから僕は、トラブルの次のお客さんにこそ、いつもより少しだけ笑顔で接することを意識しています。

次のお客さんには何の罪もありません。むしろ、その人に気持ちよく乗ってもらうことで、さっきまでの嫌な出来事をリセットする。

そんな意識でいると、意外と流れが変わることもあります。

僕がそう思うようになったきっかけが、以前書いたこちらの記事です。

鏡は先に笑わない。なのに今日はお客さんが先だった。
お客さんの笑顔が僕の原動力。じゃあ僕も笑ってなくちゃダメじゃないか。

嫌なお客さんに当たったことは変えられません。

でも、その後のお客さんにどう接するかは、自分で選ぶことができます。

タクシー運転手が嫌なお客に当たったときの切り替え方

タクドラライフでのスパイスだと考える

いいお客さんばかり乗せて、気分よく仕事する。それが理想です。

だけど悲しいかな、イヤなお客も乗ってくる。

もちろん嫌なもんは嫌ですよ。できるならそんなイヤなお客、一人として会いたくありません。

だったらそんな人には、日ごろのいいお客さんをより引き立てるスパイス役になってもらいましょう。

スイカに塩を振って食べると甘さが引き立つように。

ケーキを食べた後に塩気のあるものを食べたくなるように。

脂っこい唐揚げと爽やかなハイボールがベストマッチなように。

イヤなお客を知れば、日ごろ何気なく乗せているお客さんがどれほどありがたいかを再確認することができます。

「ありがとう、助かったよ」と笑顔で降りていくお客さん。

「こんな雨の中で運転大変でしょう」と声をかけてくれるお客さん。

「この先狭くなるけんね!そこの駐車場でUターンしたほうが帰りやすいよ!」と降りた後のことまで気遣ってくれるお客さん。

普段なら何気なく受け取っていたそんな優しさ。イヤなお客に当たった後だと、いつも以上にありがたく感じられます。味噌汁が五臓六腑に染み込んでいくみたいに。

イヤなお客はスパイス。ピリッと辛く当たられるからこそ、他のお客さんの優しさを感じられるんです。

……まあ、毎日スパイスばっかりじゃ胃もたれするんですけどね。笑

それでも晴れないなら吐き出そう

「分かってるよ、分かってるけどさぁ!どうしても自分の中で消化しきれないことだってあるじゃん!」

……ありますよね。

どれだけ「気にしないようにしよう」と思っても、どうしてもモヤモヤが消えない。

そんなときは、誰かに話を聞いてもらいましょう。

会社の先輩や同僚、家族、友人。Xで呟くなんてのもいいと思います。

ただし、SNSに書くときは個人を特定できるような情報は出さないようにしましょう。誰かを晒すためではなく、あくまで自分の気持ちを吐き出すためです。

自分の中ではグルグルしていたことでも、誰かに話しているうちに、少しずつ落ち着いてくる。

そんな経験、ありませんか?

失恋したときと同じだと思うんです。

フラれた後って、悲しい、悔しい、寂しい、腹が立つ……いろんな感情がごちゃ混ぜになりますよね。心の中が負の感情でいっぱいになって、しんどくなってしまう。

だから、そんなときは一つずつゆっくり言葉にしていく。

「こんなことを言われて腹が立った」

「でも、あの部分は自分も悪かったかもしれない」

「それにしても、あの言い方はないよなぁ」

そうやって誰かに話しているうちに、頭の中で絡まっていたものが少しずつほどけていきます。

溜まった淀みを、言葉にして外へ逃がしてあげる。

嫌なお客さんに当たったときも、それと一緒です。一人で抱え込まなくていい。

誰かに話を聞いてもらって、気持ちが落ち着いたら――最後はネタにしちゃいましょう。

「あのとき、こんなお客さんがいてさぁ」

いつか誰かにそんな話ができるようになったら、もう半分勝ちです。

「タクシーってイヤなお客さんとかも乗ってきたりするでしょう?」ってお客さんに聞かれたりもしますからね。

嫌なお客さんとの出来事を、ずっと自分の中に残る嫌な思い出にするのか。それとも、いつか笑って話せる「タクシー珍事件」にするのか。

それを決めるのは、自分自身なのかもしれません。

吐き出すときにもエチケットがある

モヤモヤしたら、誰かに吐き出す。個人的には、これが一番効果のある気持ちの切り替え方だと思っています。

ただ、吐き出すときに僕が気を付けていることもあります。

怒りって、吐き出す側だけじゃなく、受け取る側もかなりのエネルギーを使うんですよね。

だから、いつまでもネチネチ、グチグチと言っていると、聞いている相手までゲッソリ疲れてしまいます。

そこで僕は、吐き出すときにはできるだけ笑い飛ばせるように話すことを心がけています。

「慰めなんていらないから、一緒に笑ってくださいな」

くらいの気持ちです。

例えば、

「こんなお客さんに当たって……もうツラい……。タクシー運転手なんてならなきゃよかったよ……」

ではなく、

「聞いてよみんな!こんなお客さんがいてさぁ!びっくりだよなぁ!ガハハ!」

くらいの感じ。僕のXやブログでも、基本的にはこんなスタンスです。

僕は星野源さんのエッセイが好きで、何度も読み返しているんですが、その中にバンドメンバーと「怒りトークショー」をするという話が出てきます。

そこで二人が決めていたのが、重い怒りのエピソードほど、面白く、笑えるように話すというルール。

そんな二人には暗黙のルールがある。それは「ヘビーな怒りエピソードほど面白く、笑えるように」話すことだ。

怒りを吐き出す行為というのは、それをぶつける相手の気持ちを大きく揺り動かすほどに負のエネルギーが強い。しかし、黙って自分の中だけに留めておくと、次第に自分の心は不安定になり、体の具合も悪くなっていく。だからなるべく楽しく面白く吐き出すことが必要である。

間や話の運び方、理不尽な事件に巻き込まれた時の自分のリアクションの再現の方法や表情の作り方で、なるべく相手が楽しく「ひどい!」と笑えるように努める。

星野源『いのちの車窓から1』KADOKAWA

僕も、これはすごくいい考え方だと思っています。

誰かと気持ちを共有するためにも、ちょっとしたエチケット。

聞いてくれる人を楽しませようとして話していると、不思議なことに話している自分まで少しずつ楽しくなってきます。そして、気がつけば心もふっと軽くなっている。

タクシー運転手は、乗務中は車内で一人です。

だからこそ、車から降りたら、いろんな人とたくさん話しましょう。

嫌だったことも、腹が立ったことも、いつか笑って話せるネタにしてしまえばいい。

一人で抱え込まず、誰かと笑って、また次の乗務へ。それも、タクシー運転手が長く仕事を続けるための「気持ちの整え方」なんじゃないかなと思います。

まとめ

嫌なお客さんに当たることは、残念ながら完全には避けられません。

でも、必要以上に自分を責めなくていい。お客さんだけを悪者にしてもいいことはない。投げやりになる必要もない。

反省するところは反省して、背負わなくていいものは手放す。

それでもモヤモヤするなら、誰かに話して、最後は笑い話にしてしまう。

嫌なお客さんに自分の一日を支配させない。

僕はそんな感じで、今日もタクドラライフをやっています。

今日は以上です(`・ω・´)ゞ

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