こんにちは、塩っぺです!
タクシードライバーという仕事をしていると、お客様との距離が近いからか様々なお声をいただく事があります。
時には理不尽なことを言われたりというのもありますが、多くは「ありがとう」の言葉だったりします。
タクシードライバーという仕事は、感謝される仕事でもあるのです。
今回はお客様からいただいた「ありがとう」エピソードをお届けしようと思います。
終電で寝過ごしちゃった!
タクシーが最も活躍するのは深夜。最終の電車やバスが通り過ぎ、定時運行する交通機関が無くなってからが本領発揮です。
その日、ひやむぎはお客様を郊外の住宅地に送り届けて空車で走っておりました。
時刻は深夜1時。天神や中洲でさえ静まり返る時間です。まして閑静な住宅街。人間よりもネコやタヌキのほうが歩いていそうです。
夜中の空いている道路。常にこんなだったらいいのになぁ…なんて考えます。
道路は空いているのにお客様は多い。タクシードライバーなら誰もが思い描く理想郷です。
2023年3月22日。侍ジャパンの世界一がかかったアメリカとの決勝戦があった日。
多くの会社員が午前休を取ったからでしょうか。車は少ない、だけど野球に興味のないお客様からアプリ配車で呼んでもらえる。
効率よく営業でき、7:30の出庫から午前中だけで1.6万をゲットしたことがありました。
「WBCでもあればなぁ…」とぼやきつつその日の売上を見つめため息をつき、信号が青になったので交差点を右折します。
「うそやん、人がおる」
はるか遠く、交差点の向こうに歩く人影を確認。しかも全力で手を振っている!
ただでさえ人気はない、他に車もない。もし呼んでいるのがタクシーでなければ誰を呼んでいるのであろうか!
右折しきったところで車を停め待っていると、つい今しがた箱根駅伝を走りきったランナーのように晴れやかな笑顔を浮かべた男性が乗り込んで来ました。
「いやぁ助かった、本当に助かりました。終電だったのに寝ちゃって終点まで来ちゃって…もぉ〜大変でしたよ。
運転手さんが気づいてくれなかったら何時間あるく羽目になったか!ホントありがとうございます!!」
聞いてみると、目的地は4kmほどの所にある団地。徒歩で行くとたっぷり1時間はかかります。
もっと手前の駅で降りるはずが寝てしまって、終点について運転士さんに起こされたのだとか。
「私も一度ありますよ〜、似たような経験。西鉄電車の駅のトイレで寝ちゃって…駅員さんに叩き起されました笑」
そこからは飲み会あるあるなんかを話したりして、あっという間に目的地に到着。
「ほんとありがとう!助かったよ!まだ若いし兄ちゃんはすごい運転手さんになるやろうね!
また乗せてね!お釣りはいらんけんコーヒーでも飲んで!」
颯爽と降りて行かれました。
また乗せて。
同じお客様にまたご乗車いただく。僕自身その経験が何度もあるので決して不可能な話ではありません。ただしそれは、色んな偶然が折り重なった上でのこと。基本的に再会することはない間柄です。
それでも「また乗せて」と言っていただける。お客様から言われて嬉しい言葉のひとつです。
きっとそれだけ、役に立てたんだろうな。嬉しかったんだろうな。
そんなことを直に言ってもらえる、この仕事が大好きです。
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