こんにちは、塩っペです!
タクシー運転手の仕事は、運転することだけではありません。
安全に目的地までお送りするために、そしてお客様に気持ちよくご利用いただくために、乗務中はあらゆる場面で「確認」を繰り返しています。
正直に言うと、少し面倒に感じることもあります。運転に集中したいですし、「これくらい大丈夫だろう」と思ってしまう瞬間もあります。
でも、そのひと手間を省いたことで事故やクレームにつながってしまえば、もっと大きな時間と労力を失うことになります。
だから僕は、「確認は面倒な作業ではなく、自分とお客様を守るための保険」だと考えています。
今回は、僕が乗務中に欠かさず確認していることを、実際の乗務の流れに沿って紹介していきます!
トラブルを防ぐ最後のひと手間
迎車中|どの向きに着けたらいいか
例えばアプリ配車では、迎車地点がどんな場所なのかを最初に確認します。
大通り沿いなのか、住宅街の細い路地なのか。どちら向きに車を着けるのがベストか。ナビが案内するルートは本当に最適なのか。
こうした確認をせずに向かうと、ナビのまま遠回りになったり、到着しても転回できなかったり、道路の反対側に着いてしまったりと、余計なタイムロスが発生します。
ここはナビ任せではなく、その場の状況判断も必要になる場面です。
実はこの記事を書く前日にも、こんなことがありました。
迎車地点は地下鉄の駅。僕がいた場所からナビ通りに向かうと、お客様とは中央分離帯を挟んだ反対車線にしか到着できません。しかも500mほど先の信号まで行かないとUターンできないため、お客様を長くお待たせしてしまいます。
そこで今回はナビをそのまま追わず、直進した先の抜け道を利用しました。そのルートなら迎車地点までスムーズに到着でき、お客様をお待たせする時間も最小限で済みました。
タクシーのお客様には、急いでいる方も少なくありません。
だからこそ、「どこへ向かうか」だけでなく、「どう向かうか」を確認することも大切です。
省ける時間は省く。迎車で生まれた数分の余裕は、その後の実車中に焦ることなく、安全運転に集中できる余裕にもつながるのです。
乗車時|人数と行先・経路
何よりも先に確認したいのは乗車人数です。普通車のタクシーであれば運転手を除いて4人までの乗車が可能です。
信じられないかもしれませんが、飲み会シーズンなど大人数での移動が増えるシーンでは「すぐそこだから」だと言ったりして無理やり乗ろうとしてくる人がいるんです。「言わなきゃバレないと思った」など、明らかに悪意のある人もしばしば。
また子連れの場合はさらに注意が必要です。子どもの乗車定員についても正しく理解している人は少ないのが現状で、「子どもは0.5人換算でしょ?」「膝の上に乗せるから大丈夫でしょ?」「いつも乗せてもらってるから」など、こちらもゴリ押しで乗ろうとしてくる人がいます。
これらすべて、乗せてしまうと道路交通法の「定員外乗車違反」に該当し、運転手に違反点数1点と反則金が課されます。定員外乗車違反は、運転手が行政上の責任を問われます。どれだけ押し切られそうになっても、ここは絶対に譲ってはいけません。
ちなみに子どもが乗車する場合の計算の仕方ですが、第二種免許の学科教本によれば以下の通り。
『二種学科教本統合版』より
12歳未満のこどもは3人を2人として計算します。
(乗車定員-乗車する大人した大人の数)×1.5
=乗車できる子どもの数(端数は切り捨て)
計算だけじゃわかりにくいと思うので図解すると以下の通り。


土壇場で計算できる自信がない場合は、OKのパターンだけを覚えておくといいですよ!
そして次に確認するのが行先と経路です。自分の中で通る道順の答えが出ている場合でも必ず聞きましょう。必ずしも最短ルートが正解ではないからです。
例えば福岡の場合、人によって意見が分かれるのが国体道路と城南線じゃないでしょうか。距離は短く済むけど渋滞しがちな国体道路と、距離は長くなるけど流れやすい城南線。多少遠回りになっても城南線を通ってほしいというお客さんもいます。
ルートに唯一の正解があるとすればそれは、お客さんが指定したルートです。それを無視して独断で変えてしまえばトラブルになります。
もし変えたほうがいいと思ったときにはきちんとした説明の上で了承を得ましょう。
例えば僕なら、渋滞があると分かっている場合こんな風に。
「ナビの交通情報によりますと、この先〇〇交差点を先頭に渋滞があるようです。少し距離は伸びますが迂回ルートの方が早く到着できそうです。いかがなさいますか?」とこんな感じで。
大事なのは、一度お客さんに判断を委ねること。間違っても「迂回しますね!」なんて言って勝手に曲がってはいけません。お客さんによっては「勝手に遠回りをされた」と思われます。
運転手は「自分が正しいと思う道」を走る仕事ではありません。お客様が安心して目的地に着ける道を選ぶ仕事です。だからこそ、確認を怠らないことが何より大切です。
走行中|お客さんはたくさんのサインを出している
目的地に向かっている間も、こまめにお客さんの様子は確認しておきます。そうすることでトラブルの芽を早めに摘むことに繋がるからです。
例えばゆったりとシートに身を預けてスマホを見ているお客さんは、時間に余裕があることが多いです。安全に、確実な運転を心がけます。
急いでいるお客さんは、何度も前方を気にされることがあります。少しでも目的地に近づいているという実感が欲しいからでしょう。少しでも早く着くルートや代替案の提案ができるならしてみるのも一手です。
ルームミラーに頭が見えなくなったら、眠っている可能性があります。スムーズで揺れない、そして完全停車を避ける運転をすることで最後までゆっくりとお休みいただけます。
酔客でもスマホを見たりしている場合にはそこまで心配はいりません。だけど目が虚ろだったり変な力が入っているようなら嘔吐も考えられます。十分に警戒しましょう。

そのほかにも、会話の内容や表情、姿勢など、お客さんはさまざまなサインを出しています。
もちろん思い込みは禁物ですが、「今どんな状態なのか」を意識しておくだけでも、運転や接客は大きく変わります。
お客さんを見るのではなく、お客さんの様子を見る。
これも、タクシー運転手に欠かせない「確認」のひとつだと思っています。
降車時|最後まで気を抜かない
降車場所の最終確認
電車やバスと違い降車位置を細かくチョイスできるのがタクシーです。マンションのエントランスだったり、家の前のコンビニだったり、はたまた最初に言っていたところとは少し違ったり。だから目的地に近づいたら最終確認をします。
「まもなく到着いたしますが、○○の辺りでのお降りでよろしいでしょうか?」と言ったひと言を添えるだけで「もう少し先で」「駐車場に入ってください」といった希望を事前に伺うことができます。
ドアを開けるときは
料金を受け取ってもすぐにドアを開けてはいけません。まずはドアの周囲と車両後方を確認しましょう。
自転車やバイクは来ていないか、歩行者はいないか。
そしてもう一つ大切なのが、お客さんの状態です。
ドアにもたれたままドアを開ければ、勢いで外側に転倒してしまうかもしれません。。お子さんが先に車外に出ては危ない場合も多いです。荷物が転げ落ちてしまうかも。
天気も気になります。暑い日はギリギリまで涼しい車内を保ちたいですし、雨の日は早く開けすぎると雨が降りこんでお客さんも車内も濡れてしまいます。
もし足元に段差があるようなら、それも伝えるとより親切ですね。
ドアを開けるという何気ない動作にも、安全や快適さを左右する「確認」が詰まっています。
ドアを閉めるとき
お客さんが降りたら、まず後部座席を見回して忘れ物がないかを確認します。
ここで大切なのは、ドアを開けたまま確認することです。
実はこれには理由があります。
お客さんは降り際に運転手の動きをよく見ています。後部座席を確認している姿が見えれば、「何か忘れ物はなかったかな?」と、お客さん自身も自然と持ち物を確認してくれることが多いのです。
その結果、運転席からは見えにくい運転席後ろの足元なども、お客さん自身の目で確認してもらえます。
僕自身も忘れ物があって、次に乗せたお客さんに見つけてもらったという経験は何度かありました。実はそれ、全部運転席後ろだったんです。後部座席に身を乗り出しても限界がある場所。だからこそ、お客さんにも見てもらうのが大事です。(そういう時に限って、降車時の忘れ物確認を怠っていたんですよねぇ…)
また、「運転手とお客さんが一緒に忘れ物を確認した」という事実が残ることで、後日「忘れ物をしたかもしれない」という問い合わせの予防にもつながります。
忘れ物がないことを確認できたら、最後に足や服の裾、杖や傘などがドアに挟まらないことを確認して、ゆっくりとドアを閉めます。
最後の確認を終えて、お客さんが安全に歩き出したことを見届けて初めて、一組の接客が終わります。
まとめ|確認の連続だからこそ
タクシー運転手の仕事は、確認の連続です。
迎車、乗車、走行中、降車。
一日中、同じような確認を何十回、何百回と繰り返します。
だからこそ怖いのが、「確認すること」が目的になってしまうことです。
指差しだけして見ていない。ルームミラーを見たつもりになっている。「お忘れ物ありませんか?」を口癖のように言うだけになっている。
それでは確認ではなく、ただの作業です。
一つひとつの確認には必ず理由があります。
事故を防ぐため。
クレームを防ぐため。
そして、お客さんに安心して利用していただくため。
「何を確認するか」だけでなく、「なぜ確認するのか」まで意識できる運転手でありたいですね。
今日は以上です(`・ω・´)ゞ

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