いかん、この人吐くぞ。
タクドラをやっているとこういう危ない場面がたまにやってくるんです。昨日もそうだった。そして昨日はかなり危なかった。
高砂1丁目の信号で停車していると、横断歩道をヨタヨタと渡って来た中年男性が手を挙げまして。足をあまり持ち上げず、脚の力というよりも重心を後ろから前に移動させているだけの歩き方。行き過ぎた省エネ歩行とでも言いましょうか。
目線はしっかりと行先を見つめ、前に出る足と対角線上にある手が連動し、かかとから着地する。それこそが有史以前より我々人類が体得した歩き方であります。
しかし、しかしだ。この男性の目線はどこか虚ろ。どちらの足を前に出そうとも腕はそれほど動いておらず、かかとよりも先につま先の方から着地している。傍から見てもわかるくらい、身体に力を入れていない。
こりゃ危ない。タクドラ歴4年目の塩っペの脳内では「アブナイ」と書かれた畳2枚分はある旗を、小さくデフォルメされた塩っペが振っている。注意信号だ。できれば回避したい。
しかし先にドアを開けてしまっている。当然男性は乗ってくるわけですよ。
ゆさっ。
シエンタの車体が揺れる。シートに体を投げうつように座るからだ。車に乗り込むときを想像してみてほしい。おそらく右足と右手が同時に車内に入ることでしょう。
しかし今回、最初に車内に入ってきたのは右手と上半身、最後に気だるそうに足。そして乗り込んだ後はものすごくだらけた姿勢に落ち着く。落ち着くというか固まる。
先ほどのちっちゃいデフォルメ塩っペが「キケン」と書かれた旗に持ち替えてアピールしています。
「のぼぉまchまで」
ん?なんだ?までって言ってるってことは今のは行先か?
呂律が回らないとは少し違う、唇や舌に力を入れずに発された音。
聞き返すとすこしだけ力を込めた発音が返って来た。どうやら春日市昇町のようだった。高砂から昇町。夜メーターで3,000円級の距離だから、運収的にはありがたい。しかし状況はあまりありがたくない。
ここまで読んでお気づきの方も多いでしょう。この人、酔っ払い。
しかも結構キてるタイプの酔っ払い。
自分も酒呑みだし、幾度となくお酒でやらかしてきているからわかる。これはちょっと気持ち悪い時だ。
タクドラになってからというもの、乗車までの数秒間で乗客を観察して予測するスキルが身に着いたと思います。身体の動かし方は貴重な情報源。人々が飲み歩く時間帯ではなおさら。
ざっくり図にまとめるとこんな感じです。

大袈裟に図にしましたが、たぶん皆さん同じような点を見てると思うんです。
ほんで該当する項目が多ければ多いほどヒヤヒヤしながら運転するんです。
特に気にしなくても大丈夫そうなお客さんならそのまま運転に集中するんですが、こういう時はいつも以上に気を付けて運転しないとリスクが大きいのです。
有り体に包み隠さずに言えば、車内ゲロです。
なので目的地に向かっている間も観察が続くわけです。

幸か不幸か、乗ってすぐに寝た様子だったので、揺らさず止まらず起こさずの運転で目的地の近くまで来まして。どの辺で降りたいかを聞いたんですよ。そしたらセブンの駐車場って言われまして。
もちろん先ほど同様の力のない発音で。
件のセブンまではあと数十メートル。そんなとき…
「ヴぅぅぅぅっぅぅうぅぅ…」
あかん、来る。これは来る。
熊があなぐらの奥で唸りよるような声。聞こえたのはちょうどセブンの駐車場に入ろうとしたところでした。停止目標寸前、というかあと少し踏み込めば停止できる。
いつもであればコンビニを指定されたらきちんと駐車区画に入れるんですが場合が場合。広めの駐車場ということが幸いしました。
乗り逃げ防止の観点から禁じ手ではあるものの、停止直後にドアオープン。
ドアを開けて様子を確認したら、口元からたら~っとなんか垂れよるわけですよ。
「お客さん、気持ち悪いなら一旦降りましょか!!!」
刹那、元栓がどうも今ひとつ開ききらない壊れかけマーライオンみたいになるおっちゃん。たぶんね、飲んだあとお店で胃の中のもんをある程度出してきてたんだと思います。じゃなきゃ間に合わんかった。
その状態でもっかい車内を向かれても困るので、釣銭箱持って降りて助手席側に回って運賃収受&降車。
いろんなラッキーが重なって、塩っペ号の車内は無事でした。いやぁ、ヒヤヒヤしました。
タクドラって、その場その場で対応は変わるしアドリブばっかりだなって改めて思いました。送別会シーズンが終わったかと思えば今度はお花見&歓迎会シーズン。
桜の木の下で昼から飲んだくれる人もいるでしょうから、時間帯関わらず被弾の可能性がある季節。
お酒に不慣れな新入社員さんたちもいるでしょうし、令和の世でも飲ませようとするアルハラ上司だって一定数存在することと思います。
危険度で言えば、送別会よりも高めなんじゃないでしょうか。
タクドラじゃないけれどこのブログを読んでくださっている皆様におかれましては、酒は飲んでも飲まれるなという言葉と、タクシー車内での嘔吐は福沢さんか渋沢さんが飛んでいくかもしれないという怖い話を送っておきます。
塩っペをいつも応援してくださるタクドラ諸賢におかれましては、引き続きトラブルのない日々を過ごせるようお祈りいたします。
ではでは٩( ”ω” )و

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