こんにちは、塩っペです。
今回もお客さんの話です。とても素敵な老夫婦のお二人にご乗車いただきました。
婆さんや、今日もいい人生だったなぁ!
23時を過ぎた福岡市中央区警固。
路地を入ったところでお客様が降車、次のお客を探そうと路地を抜け出すとすぐそこでおじいちゃんが手を挙げています。なんとラッキーなことか。着発の幸運です。
「東区のうどん屋さんまで」
…東区っていくつうどん屋さんがあったかなぁ〜?💦
慌てて確認したところ、奈多のうどん屋さんということでした。それならわかります。早く食べないと麺がクタクタになるだけじゃ飽き足らず、汁を思う存分に吸って増殖を始めるおいしくも恐ろしい福岡のソウルフード的存在のあのうどん屋さん。
以前にもそこに別のお客さんをお連れしたことがあり行き方は覚えていたので快調に走り出しました。
乗ってきたのは80過ぎのご夫婦。「久しぶりにこんな時間まで飲んだけど、楽しかったねぇ婆さんよ」しきりにそんなふうにおばあちゃんに話しかけていました。
天神北ランプから合流した都市高速は築港にさしかかり、博多港のポートタワーが見えてきました。
「見てんね、ポートタワー。きれいかろうが。俺が仕事から帰るときもきれいかったとよ。」
それにおばあちゃんは、うんうん、そうですねぇとしきりに相槌を打っていました。
そこから香椎浜、アイランドシティへと進み照葉のタワーマンションが見えてくると、「香椎もあの頃からずいぶん都会になったもんなぁ。婆さんと二人で住んどったときはこげん高い建物もなかったもんなぁ!」
「そうですねぇ、また人工島ができたころでしたからねぇ。(お婆ちゃんがどれくらいの時期のことを言っていたのか定かではないが、着工は1994年7月。少なくともこれよりは後のこと。)」
この二人は僕の人生と同じくらい、いやそれ以上の時間をずっと一緒に過ごしてきたんだなぁ。話が落ち着いたら長生きと仲良しの秘訣でも聞いてみよう。そう思いながら奈多を目指して走っておりました。
「運転手さん、奈多の行き方わかるね?雁の巣のレクレーションセンターから曲がるっちゃけどさ。」
塩「はい、先日も行きましたので。信号から右折しますよ〜」
「そうそう、それでいいけんね!よろしく!そんでさ婆さん」
まあ止まらんこと止まらんこと。年齢を感じさせない連射性能を誇るマシンガントーク。明石家さんまさんもびっくり。彼が引き笑いする隙もないほどのスピードです。
あっという間に目的地のうどん屋さんに到着。運賃は都市高速料金を含めて6,000円ちょっと。
「ごめん運転手さん、1万円しかない!!」
いや、正しいよ!その使い方正しいから!670円のやつに言われたら場合によってはキレるけどこんな距離乗ってもらって1万出されたからって怒らないから!
お釣りを渡し、ドアを開け、「ありがとうございました〜」といつもの声かけ。
「こちらこそありがとうねぇ!今日もいい人生楽しめたよ!帰りも気をつけるとぞ〜!」
ドアを閉めるまで、0時前の夜闇におじいちゃんの豪快な笑い声が響いていました。
都心部に戻りつつ思ったこと
奈多から僕が普段走るエリアまではそれなりに距離があります。住宅地とでっかいこども病院を抜けたらしばらくは大型トラックが走り回る工業地帯。
アプリ受付はしてるけどハナから期待なんてせず、のんびりとエリアに戻っておりました。
それにしても、あのおじいちゃん。本当にお婆ちゃんが可愛くて仕方ないんだろうなぁ。大好きなんだろうなぁ。
この1年の乗務で同じような年代のご夫婦は何度も乗せました。だけどここまでおじいちゃんがキラキラした笑顔で話して、それをこれまたキラキラの笑顔で聞いているおばあちゃんは会ったことがありません。
パワーバランスが完全にできあがっていて、パワフルばあちゃんと使い古しの座布団よろしく尻に敷かれてくたびれたじいちゃんという二人なら何度か見ましたが。笑
そして降り際に言っていた「今日もいい人生だった!」ってのもかっこよかったです。
きっとお婆ちゃんと遅くまでお出かけしたのがよほど嬉しくて、またお店も楽しかったんだと思います。
僕ら夫婦もこんな仲良しで添い遂げたい。そう思ってほっこりして元気をもらった土曜日の夜のことでした。
こんなエピソードがあるからタクドラは辞められない。色んな人の人生の1コマを見ているようで楽しいんです。さ〜て、これを書いているのはイオンマリナタウンのフードコートなんですが、そろそろ夜の休憩も終わるし、なにより店舗が閉まり始めて遠目からミスドのお姉さんやお掃除のおばちゃんが「はよ帰らんかい」という目で見てきて怖いのでそろそろ仕事に戻ろうと思います。
今回も読んでいただいてありがとうございました。今日もご安全に〜!
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